Saint

Takuro Okuda

 

推奨環境:iOS12/safari
※3Dモデルは作品本来の色味や造形とは異なる場合があります。

 

 

 

人形の主な素材は、石塑粘土と呼ばれる石の粉が原料の粘土です。

造形をしているその時、機嫌や気分、自分でも気づかない心に秘めている感情が、
手と指を媒介して、形を作っていきます。

初めから明確なイメージはありません。意図的に作り上げるのではなく、
手が勝手に作っていく感覚です。

私は、削ることも盛ることもできる素材である粘土が好きです。
それは造形が簡単だという事ではなく、

粘土の持つ柔軟さが、
些細な感情の機微までも受け入れてくれるように思うからです。


人形制作には何ヶ月も費やします。
目を作るにしても、すんなり上手くいく事もあれば、
どうしてもしっくりこなくて、何日か時間を置く事もしばしばです。

造形の完成がどこにあるのかはわかりません。

しかし、
霧の向こうにあるような、ぼんやりしたイメージを追いかけていくうちに、
その瞬間はやってきます。

はっと気づかされるのです。
すでにそれは、ただの粘土の塊ではなくなっていることに。

 

 

 

 

私は、古いものや経年変化したものが好きです。
そこに歴史や物語性を感じるからかもしれません。

家具などをあえて古ぼけたように仕上げることをエイジングと言いますが、
私は作品に少し変わった方法で仕上げをします。

紅茶の葉、釘の錆、火、炭、雨水、陽の光。

それらを重ねていく事で偶発的に浮かび上がる、滲みや陰影が
人形に個性を与えてくれるのです。



そうして生まれた作品はかけがえのない存在であり
その人形だけのオーラを放つようになります。

その人形はすでに、それ自体が人格を持っているような状態になるのです。

  

 

 

 

 

どんなに頑張っても、同じものは二度とは作れません。
自分にとっても作品は、一期一会の出会いなのです。

人形はいつも同じ表情をしているものですが、
見る人によって、またその時の気持ちによって、不思議と表情が変わっているように感じます。
悲しいときには心配そうに、楽しい時には嬉しそうに、寄り添ってくれます。

 


もしこの人形を見て何か感じるものがありましたら、
この出会いを大切にしていただきたいです。

 

 

 

 

 

 

 

title Saint
scale

H 200 W 100 D 100 (mm)

material 石塑粘土 鉄 グラスアイ

 

この作品は売約済みです
Takuro Okuda Doll artist

1991年岐阜生まれ。2015年より本格的に人形づくりを始め、同年開催の人形コンクールにて入選。