マンガでアートを学ぶ! 美大や芸術、イラストがテーマのコミック6選

アートと聞くと、高尚で、敷居が高くて……なんだかとっつきにくいし、名前だけならよく聞くけど、正直よく分からない……そう感じている人が多いと思います。興味はあるけど、どこから調べたらいいのか分からない!そもそも、アートの定義って何? そんな人におすすめしたいのが「マンガ」です。難しく感じる内容でも、マンガならすっと頭に入ってくる。そんな、マンガが提供してくれる楽しい学びを、誰でも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。

ということで、今回は「アート」を題材にしたマンガ作品をご紹介します。アートに興味のあるなしにかかわらず楽しめるものばかりです。この記事を読めば、アートがもっと好きになるはず!

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1「かくかくしかじか」東村アキコ 集英社

「今さらもう遅いよね 怒らないでね先生」

「海月姫」「東京タラレバ娘」などの作品を手がけた、東村アキコの自伝的作品です。軽い気持ちで少女漫画家を目指していた高校生の主人公・林明子は、生まれも育ちも宮崎県。温和で優しい人々に囲まれながら、根拠の無い自信を抱いたまま進路決定の時期を迎えます。ある日、クラスメイトの二見が小さな画塾に通い始めたことを聞き、彼女にその画塾を紹介してもらい、そこで生涯の恩師・日高先生と出会い、明子の絵への向き合い方が変わっていきます。

本作は、漫画家になった明子(=作者の東村アキコ)が過去を振り返る形式で物語が展開されていきます。ギャグ要素も交えた爆発的な勢いで描かれていく子供の頃の明子の行動と感情、そして切なくも淡々としたモノローグでつづられていく、大人になった明子の絵や恩師への思い。同じ人物の、正反対の感情の対比がリアルで、どこか懐かしさをも内包した空気感が素敵な作品です。

自分にとって絵とは何か、描くとは何か。高校・美術大学・漫画家生活と、主人公を取り巻く環境と共に移り変わっていく描写が心に響きます。9回文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞を受賞。

2「モディリアーニにお願い」相澤いくえ 小学館

「だって、そうでもしないとさ、才能ある人に勝てないんだもん。永遠に」

バカでも入れる小さな美術大学に通う壁画科の千葉、日本画科の本吉、洋画科の藤本の三人を中心に、才能や将来、表現を考えていくストーリーです。主役の三人はもちろん、三人を取り巻く登場人物は、大学生であると同時に、ひとりの創作者。個展を開くことになった同級生、卒業制作に思いを込める先輩、誰よりも真剣に漆に向き合う先生……皆、時には迷い、悩みながらそれぞれの情熱を作品として昇華し、自分だけの表現を見つけていきます。

舞台は、震災後の東北。震災についても、折に触れ描かれていきます。その描かれ方も無理がなく、押し付けがましさもありません。あくまで日常の一風景として登場する、新たな表現を見せてくれます。連載開始時、作者は現役の美大生。背景はもちろん、服の模様や影、髪の一本一本まで全て手描きで表現されていて、緻密な絵と等身大の描写に胸を打たれる作品です。

3「バクマン。」大場つぐみ/小畑健 集英社

「俺と組んで漫画家になってくれ」

中学三年生の真城最高(サイコー)は、ある日クラスメイトの高木秋人(シュージン)に「漫画家にならないか」と持ちかけられたことをきっかけに、様々な苦境に立ち向かいながら、週刊少年ジャンプ連載作家としての道を歩んでいく物語です。

テレビアニメ、実写映画などたくさんのメディアミックスが制作されたため、ご存知の方も多いのではないでしょうか。本作は、「ONE-PIECE」「ドラゴンボール」など、実際に週刊少年ジャンプで連載していた作品が、名前そのままに登場します。また、マンガ作品の連載の仕組みなども作中で詳しく解説してくれるリアルさも見どころです。

「このマンガがすごい!2010」オトコ編1位、2010年度マンガ大賞3位にランクイン。

4「ギャラリーフェイク」細野不二彦 小学館

「贋物<フェイク>ですよ」

贋作やレプリカ専門のアートギャラリー「ギャラリーフェイク」。そのオーナーの藤田玲司と助手のサラ・ハリファが、様々な人間や美術品との出会いを通じて、「芸術とは何か?」「美とは何か?」を追求する作品です。主人公の藤田は、贋作を真作と偽って売買を行ったり、私腹を肥やす悪徳政治家との繋がりを利用したり……と、ダークなキャラクター性が魅力。しかし、ただ悪いことをするだけではないところも見どころ。アート版「ブラック・ジャック」とも言えるような、一般の善悪では測れない義理人情を感じることができます。

連載期間は26年、単行本の巻数にして34巻と、圧倒的な情報量を持つこの作品。連載当時の時事問題、社会問題なども美術品に絡めて織り込まれていて、アート以外にもたくさんのことに触れられるマンガです。2003年にウェブドラマ、2005年にはテレビアニメも放映されていました。

5「ハチミツとクローバー」羽海野チカ 集英社

「手を動かしてみると アッサリ解ることって けっこうあるぜ?」

ボロアパートに住む美大生の主人公・竹本祐太が、アパートの同僚かつ大学の先輩の真山、同じく先輩で「変人」として知られている森田と共に、楽しくもほろ苦い学生生活を送るストーリーです。ある日、大学の講師・花本に紹介された大学生・花本はぐみとの出会いをきっかけに、竹本たちの生活に変化が現れていきます。正統派の青春に加え、実らない恋の行方や美術の才能、自分なりの生き方について苦悩する等身大の若者の姿が描かれています。

2003年に「第27回講談社漫画賞少女部門」を受賞、2006年と2007年に宝島社の「このマンガがすごい!」オンナ編を2年連続で受賞。また、2005年にテレビアニメ、2006年に実写映画、2008年にテレビドラマが制作されるなど、多くのメディアミックスが展開された作品でもあります。

6「アオイホノオ」島本和彦 小学館

「俺は絵が下手だ!!──ということは漫画家に向いている気がするんだが……」

「炎の転校生」などのマンガ作品、さらに「機動武闘伝Gガンダム」のキャラクター原案を手がける島本和彦のプロデビューまでを描いた、コメディータッチの作品です。

舞台は1980年代初頭の大阪。美術大学に通う焔 燃(ほむら・もゆる)は、テレビや映画、アニメの授業を受けながら、将来はアニメーターか漫画家になろうと考えているけれど、反面なかなか行動に移さずいる自惚れ屋。そんな焔ですが、のちに「エヴァンゲリオン」を生み出す男・庵野秀明との出会いや、他の若手漫画家の台頭といった転機を迎え、彼の人生は変わっていきます。

1話冒頭に「この物語はフィクションである。」と大きく書かれ、次のページにも「実在の人物・団体等の名称が登場するが、あくまでこの物語はフィクションである。」と念押しをされていますが、前述した庵野秀明や岡田斗司夫、あだち充などの実際の人物が同名のキャラクターとして登場。また、彼らが実際に制作した作品なども使用されています。さらに焔の通う大学の名前が大作家(おおさっか)芸術大学(実際に作者が通っていた大阪芸術大学のパロディ)になっているなど、不意にクスッと笑えるシーンが数多く存在するのも魅力。2019年9月現在も、月刊少年サンデーにて連載が続いています。

2014年にはテレビドラマ化されたことでも注目を集めました。2014年に第18回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、2015年には第60回(平成26年度)小学館漫画賞一般向け部門を受賞。

「マンガでアートを学ぶ!芸術を描いた作品6選」記事のまとめ

いかがでしたでしょうか?アートに触れるきっかけは人それぞれ。その中で、今回は気軽に手に取りやすい「マンガ」を紹介しました。ひとつでも「面白そう」「読んでみたい」と思うものがあれば幸いです。今回紹介した部分は、作品の魅力のほんの一部に過ぎません。興味のある方は、ぜひ一度読んでみて、作品の全てに触れてみてください。きっと、今よりももっとアートを身近に感じられることだろうと思います。最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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